風邪を引いて早く治すため点滴を打ってもらったらすぐになおる・・・という話をされたことがあります。点滴は体に直接打つから即効性があると思われていますが、実は点滴を打っても風邪をすぐになおすことはできません。
病院で点滴を打ってもらうのはいいですが、点滴の成分や効き目、風邪をすぐになおす効果があるのかについてかかりつけ医に教えてもらいましたのでお伝えします。
点滴をする目的は2つある
点滴をする目的は2つあり、「水分および栄養補給」・「薬剤投与」・「薬剤投与の備え」です
- 水分および栄養補給
吐き気や嘔吐で食べることも飲むことも出来ないときに、水分と栄養補給することを目的に行われます。口から飲むと戻してしまうため、直接血管の中に水分と栄養を入れることでエネルギー補給をします。風邪の時に点滴液はこれです。 - 薬剤投与
錠剤などが無く、直接静脈に投与しないといけない治療のときに行われます。または、薬を飲めない状態に人に点滴で投与する必要があるときに使われます。
点滴にはどんな成分が含まれているのか?
病院に行ったとき、「点滴を打ちますか?」と聞かれて打って下さいとか、自分から「点滴を打って下さい」と言ったときに、どんな成分が含まれている点滴を打つのか理解して打っている人は少ないです。
風邪のときに使われる点滴剤には、ラクテックやソルデム3Aなどといったものがあります。
主な効能
- 体内に必要な水分、ミネラルやエネルギーを補給したり、血液が酸性に傾いた状態を是正します。
- 各種ミネラルや糖質(ソルビトール)を含むお薬です。
この薬が処方される主な病気・症状
- エネルギー補給
- 組織間液減少時の細胞外液の補給
- 組織間液減少時の細胞外液の補正
- 循環血液量減少時の細胞外液の補給
- 循環血液量減少時の細胞外液の補正
- 代謝性アシドーシスの補正
主な効能
- 体内に必要な水分、ミネラルを補給します。
- 各種ミネラルや糖質(ブドウ糖)を含むお薬です。
この薬が処方される主な病気・症状
- 経口摂取不能又は不十分の水分・電解質の補給・維持
点滴の成分を見てみると分かるように、「体に必要な水分とミネラル補給」をするものです。
点滴の効果・効き目
点滴は、脱水症状を起こしていたり、水分補給が出来ない状態のときに直接血管から水分と栄養を補給するために行います。
抗生物質の点滴もありますが、風邪の原因はウイルスによるものが大半なので、ウイルスには抗生物質の効き目はないため行いません。
点滴を打つことで、エネルギー補給を行い、体力を少しでも回復させることで免疫力を高めることにつながり、早期回復になります。
点滴で風邪をすぐになおす効果は無い
点滴を打ったからといって、すぐに風邪をなおすことができるかというと、すぐにはなおりません。
効果があるとすれば、脱水症状の改善・エネルギー補給です。体温よりも冷たい液体を入れるので若干の冷却効果が期待できるかも知れません。点滴で風邪がすぐになおったと思う心理的な効果が非常に大きいようです。病は気からとはよく言ったものです。
まとめ
風邪を引いたときに、点滴を打つとすぐになおるというのは間違いです。点滴はただのエネルギー補給に過ぎません。風邪薬や解熱剤を飲んだほうが即効性がはるかにありますが、使うタイミングが重要になります。
解熱剤などを飲むときはピークを過ぎた回復期に入ってから飲まないと、いつまで経っても風邪が治りません。解熱剤などはウイルスを退治するのではなく、症状を緩和するだけなので根本的な解決にはならないからです。