
夏の暑さで食欲が落ちてしまい、体重が減ったと喜ぶ人もいるかも知れませんが、体力が低下しているため疲れやすく、だるさを感じるようになってしまいます。それでなくても夏は、食事が偏りがちで冷たいものが中心になってしまいます。
夏は食事の内容を改善するための、旬の食材・栄養素・食べ方・タイミングについてお伝えします。
目次
夏バテや熱中症を予防すための食事法や食べ方
夏になると暑さで食欲が落ちてしまい夏バテや夏風邪になりやすく、体調を崩しやすいです。体力が無くなると、疲労感や倦怠感、暑さによる貧血やめまいなども引き起こし熱中症になることもあります。暑いからといって、冷たいものばかりを食べてしまうと胃腸の体温が低下して働きが鈍くなることから、食欲不振になりますし、お腹を下して下痢になってしまったり、便秘になってしまったりします。
夏バテや夏風邪、熱中症になってしまうと体力が低下していることから体調の回復にも時間が掛かってしまうため、夏を楽しむどころではなくなってしまいます。食事内容が偏り、栄養バランスが崩れることを防ぐための暑い時期の食事の食べ方について9つ紹介します。
疲労回復抜群!豚肉や魚介類と玉ねぎを一緒に食べる
疲れが取れない、溜まっているという原因は様々ありますが、夏バテを引き起こす要因の1つはエネルギー不足です。食事はちゃんと摂っているからエネルギー不足になることは無いと思っている人もいますが、エネルギーを作るために必要なのがビタミンB群で、その中でもビタミンB1が不足するとエネルギーを体内で作りにくくなります。エネルギーにならなかった分は体脂肪となって蓄積されます。偏った食事は、体脂肪を増やすだけになってしまいます。
疲労回復に豚肉が良いと言いますが、肉類の中でもビタミンB1を豊富に含んでいるためです。もちろん、豚肉以外にもうなぎやカツオ、サケ、鯛などにもビタミンB1が多く含まれていますので、カルパッチョにしたりして食べると疲労回復効果抜群です。
疲労回復にビタミンB1は欠かせない栄養素ですが、さらに早く披露解消するのに良い食べ合わせがあります。それはタマネギです。タマネギに含まれているアリシンという成分がビタミンB1と結合するとアリチアミンという成分になります。
アリチアミンは、疲労回復に加え、糖質をエネルギーへと変換し、代謝効率をアップさせる効果があります。身体中の細胞に十分な栄養を行き渡らせることができ、疲労物質の排出を促し、疲労回復効果抜群です。
【ビタミンB1が多い主な肉類と魚介類】
肉の種類 | ビタミンB1量 | 魚の種類 | ビタミンB1量 |
---|---|---|---|
豚ヒレ肉 | 0.98mg | うなぎの蒲焼き | 0.75mg |
生ハム | 0.92mg | かつお節 | 0.55mg |
豚もも肉 | 0.9mg | 鯛(生) | 0.34mg |
ボンレスハム | 0.9mg | 鮭(生) | 0.25mg |
豚ロース肉 | 0.69mg | ブリ(生) | 0.23mg |
ベーコン | 0.59mg | サバ(生) | 0.15mg |
鴨肉 | 0.4mg | カツオ(生) | 0.13mg |
※100g当たりの栄養素
朝から元気になる!朝食の摂り方
朝、目覚めても眠気が取れないとか、スロースターターで集中力が高まってくるのがお昼ごろになってからとか、朝食を食べる元気が無いという人におすすめなのが「 朝食と食べること 」です。
蒸し暑くて汗だくになっていても、暑いのは身体の表面だけで胃腸などの体温は低くなっています。起床すると交感神経が優位になり、これから活動するというモードに切り替わります。朝からシャキッと元気になるためには、内臓の動きをサポートするための朝食は欠かせません。
朝からしっかりとした朝食を食べるのは大変ですし、食欲が無いときに無理やり食べても消化不良になり、胃もたれを起こすことがありますので、そこでおすすめの朝食の取り方を2つ紹介します。
1つ目は手軽に始められるヨーグルトと果物を食べること。ヨーグルトにはタンパク質(身体のあらゆる組織を作る成分)とカルシウム(身体の生理機能を調整し安定させる)が豊富に含まれていて、果物からは糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂取することができます。果物を食べるのが面倒ということであれば、フルーツヨーグルトでもいいです。
2つ目は、ジューサーやミキサーを持っていればスムージーがおすすめです。好きな野菜や果物を滑らかになるまで混ぜた飲み物で、生で食べることができアクが少ない小松菜、キャベツ、レタス、セロリ、トマトや果物のスイカやバナナなどの旬の夏野菜や果物を具材に使うといいです。身体への栄養の吸収率が良く、エネルギーに早く転換されます。
寝ている間に汗をかいているので、朝起きたときは軽い脱水症状になっていますので、スムージーで水分とエネルギー補給をするのは理想的な朝食の摂り方です。
食欲が無いときの秘密兵器は「酢」!
暑いと食欲が落ちてしまいますが、そんなときに使いたい調味料が「酢」です。台所に余っている酢がありますよね。米酢・黒酢・バルサミコ酢・白ワインビネガー・リンゴ酢など、何でもいいので料理に合わせて酢を追加します。酢を加えることで、酸味ををプラスして、食欲が湧かないときでも美味しく食べることができます。
酢には食欲増進作用があります。主成分の酢酸は、胃酸の分泌を促し消化吸収を助けてくれます。
運動後、疲れが取れないという人にもおすすめです。お酢は糖質と一緒に食べると肝臓と筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンの蓄積を促し、カルシウムの吸収効率を上げるため、骨を丈夫にしてくれ、さらに疲労回復効果にも優れています。
疲労回復効果があるのは、お酢に含まれているクエン酸がエネルギー代謝を活性化して疲労回復を助けてくれます。酢の種類によって違う効果がありますので一部紹介します。
黒酢・・・アミノ酸が含まれており、血液をサラサラにする働きがあり、血液を末端まで運ぶことができるようになり酸素を全身に運べます。また、活性酸素を排出する抗酸化作用も強く、運動後の体内の機能低下を防ぎ疲労回復が早くなります。
バルサミコ酢・・・ポリフェノールの抗酸化作用で血管の老化を防ぎ、血行促進・疲労回復・消炎作用もあります。
食欲が無いときは、脂っこい肉類や魚料理を避けてしまいます。そうすると、タンパク質が不足してしまうので、酢をかけることで脂が細かくなりさっぱりと食べやすくなります。生野菜サラダにかけても美味しいですし、いろんな料理にお酢は合いますので、食欲が落ちたときに是非使って見て下さい。
冷たい麺類を食べるなら冷やし中華がおすすめ
暑い夏は、冷たい麺類が美味しいです。そーめん、ソバなどを食べる回数が増えますが、麺類は糖質がほとんどで必須栄養素と言われるタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルが不足し栄養バランスが崩れてしまいます。
冷たい麺類を食べるのであれば冷やし中華がおすすめです。冷やし中華には、錦糸卵・ハム・チャーシュー・きゅうり・トマトなどを一緒に食べることができます。錦糸卵とハムからはタンパク質と脂質、きゅうりとトマトからはビタミンとミネラルが摂れ、タレには酢が入っているのでさっぱりと食べることができ、疲労回復効果があります。さらに、のりやゴマなどをトッピングすると不足しがちな亜鉛やビタミンEなどの栄養素を取ることができます。
冷たい素麺や蕎麦に、サラダや天ぷらなどを追加することで栄養バランスを保つことができます。食事をするときに栄養バランスを考えるなら、色どりに注意するといいです。食事の中に白・黄・緑・赤・黒の5色の食べ物が入っていると栄養バランスが整いやすいです。
ネバネバ食材がスタミナアップの栄養食になる
ネバネバした食材は健康に良いと言われます。オクラ・山芋・モロヘイヤ・ツルムラサキ・納豆・めかぶ・なめこなどがあり、これらにはムチンという栄養素が含まれています。ムチンはタンパク質と多糖類が結合したもので、ネバネバまたはヌルヌルした成分です。
ムチンの効果は、胃の粘膜をうるおして保護する働きがあります。肝臓や腎臓の機能を高める作用、細胞の活性化、老化防止、消化促進、便秘改善効果もあります。粘膜を強化することでウイルスに対する抵抗力が高まり夏風邪予防になります。スタミナ増強作用もあるので、体力が低下しているときに元気にしてくれます。
夏が旬のオクラとモロヘイヤは栄養価が高いです。オクラはβ-カロテン、ビタミン、カリウム、カルシウム、ミネラルが豊富で、モロヘイヤはβ-カロテン、ビタミンB群、ビタミンCが多いです。ムチンは熱に弱いので加熱時間を短くすることがポイントです。山芋や納豆は生で食べることができますので、ネバネバ食材を複数組み合わせて食べることで、それぞれが不足する栄養素を補うことができます。
【ネバネバ食材の栄養素】
項目 | オクラ | モロヘイヤ | 山芋 | ツルムラサキ |
---|---|---|---|---|
カロリー (kcal) |
30 | 38 | 123 | 13 |
β-カロテン (μg) |
670 | 10000 | 6 | 3000 |
ビタミンB群 (mg) |
葉酸110μg | B2 0.42 | B1 0.13 | 葉酸78μg |
ビタミンC (mg) |
11 | 65 | 5 | 41 |
カリウム (mg) |
260 | 530 | 590 | 210 |
食物繊維 (g) |
5 | 5.9 | 2.5 | 2.2 |
※100g当たりの栄養素
夏の運動時の水分・栄養補給のタイミング
夏場の運動・トレーニングはしんどいですが、身体の強化のために炎天下での身体を動かすことがあります。この夏のトレーニングは3ヶ月から半年先に向けての体力作りになっていく大切な期間です。でも、夏バテで食欲が落ちてしまうと、思うように運動することができなくなってしまうことがありますので、夏期の運動は適切な水分補給と栄養補給が重要です。
一番注意しないといけないのが脱水症状です。大粒の汗を流すと水分と塩分を失い、血液中の濃度を一定に保つために、大量にかいていた汗が出なくなり、体温を下げることができず熱中症になります。
喉の渇きを感じたときには軽い脱水症状を起こしている状態です。これは運動しているときも、日常生活でも同じことが言えます。脱水症状を起こしているので、塩分(ナトリウム)やミネラル分を含むスポーツドリンクを飲むようにします。
夏の水分補給と栄養補給のタイミングは、喉が渇いてからでは遅いです。こまめにスポーツドリンクを飲むことが大切です。
運動時は15分程度で1回の水分と栄養補給
日常生活時は20分程度で1回の水分と栄養補給
を目安にスポーツドリンクなどナトリウムやミネラル分を含んだ飲み物を飲むようにします。
身体の火照りを野菜で取る方法
夏は体内に熱がこもり火照りやすいです。運動のときだけではなく、お風呂上がりに顔が真っ赤になっている人も同じです。体内の熱を上手く放出することができておらず、火照っている状態です。このとき、水分補給をして軽い運動をすることで汗の発汗を促し、体温を下げるのがいいですが、だるいとか、身体を動かすのが億劫なときは野菜で体温を下げるようにします。
体温を下げる効果がある野菜があります。トマト・きゅうり・ナス・ニガウリ・レタスなどの夏野菜です。他にもバナナやスイカも身体の中の体温を下がる働きがあります。食事をするときに、これらの野菜を入れたサラダを食べると手軽に火照りを取りやすくなります。また、旬の夏野菜にはビタミンやミネラル・食物繊維が豊富に含まれていますので体調管理にもなります。
逆に身体を温める野菜を食べるのも効果的です。にんにく・生姜・タマネギ・長ネギ・ニラなどの香味野菜は身体を温める野菜で、体温を上げることで発汗を促して火照りを解消させてくれます。
夏のスタミナアップ、体調を整えて火照りを取るのにおすすめはスパイシーカレー。夏野菜がたっぷり入っていて体温を下げる効果と、香味野菜やスパイスが効いていて発汗作用があり、適度に汗をかくことでクールダウンすることができます。夏は胃腸が弱りやすいので刺激が強いものや、食べ過ぎると胃もたれなど体調を崩す原因になりますので食べ過ぎには注意です。
糖質制限中の人が注意すべきポイント
太っている人や血糖値が高い人は糖質制限をしていることがあります。糖質制限ダイエットを実践している人もいると思います。この糖質制限食とは、糖質の摂取を控えて食後の高血糖を防ぐことも目的にした食事療法です。簡単にいうと主食のご飯や麺類・パンなどを抜いた食事をするということになります。
糖質を一度にたくさん摂取すると血糖値が急激に上がります。血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、筋肉や心臓などに糖質の利用を促して血糖値を下げようとしますが、それでも消費されない分は脂肪として蓄積されてしまいます。
糖質制限をすると肉類や魚介類を食べることが増えますが、夏になると暑さで水を飲む量が増えるので胃腸の働きが低下して、脂っこい食事を食べるのが厳しくなります。すると、カロリー不足になったり、栄養バランスが崩れるため、暑い時期には少し糖質を増やしたほうが良いということがあります。血糖値が上がりにくい玄米や全粒粉パン、豆腐や納豆・チーズなどタンパク質や脂質が多い食品を食べることで満腹感もあり、栄養バランスの摂れた食事になります。
血糖値が上がりにくい工夫をして、糖質を摂るようにしましょう。
帰りが遅いときの夕食の食べ方
仕事が忙しく、夕飯を食べる時間が遅い人は、疲れやすく、体調を崩しやすいです。これは、夕食を食べる時間が遅いことが原因です。消化する時間を考えると夕飯は就寝の3~4時間前には済ませておくことが望ましいです。でも、仕事が忙しくて就寝前に夕飯を食べて寝ると、胃には消化されていないものが残っているため、寝ている間でも胃腸は活発に動いていることになります。これが、翌日の疲労感や倦怠感・体調不良につながります。
帰宅が遅くなるときの夕食の食べ方としては、時間をズラして2回夕飯を食べるようにするといいです。食べ方は1回目はごはんやパンなどの主食を食べて、2回目は主菜・副菜を食べるという方法です。
1回目の夕飯は、オフィスでも手軽に食べることができるおにぎりやパンを食べます。
2回目の夕飯は、帰宅後に肉類や魚介類などの主菜と、野菜などの副菜を食べます。
夕食を2回に分けることで、効率よく栄養素を摂取することができるほか、夜10時~朝方2時の時間に多く分泌されるBMAL1(ビーマルワン)という脂肪蓄積物質が活発になる時間帯に食べないことで太りにくくなります。
まとめ
夏の暑さに負けてしまう原因は様々ですが、食事を気をつけることで体調をコントロールすることができます。偏りがちになる食事内容を見直したり、元気になるための食べ方などを9つ紹介しました。
簡単にできる方法ばかりなので、自分の日常生活で取り入れられる方法を試してみてください。夏バテや夏風邪など体調不良になると長引きやすい傾向にありますので、早く体調を回復させるためにも食べ物や食べ方を少し変えてみましょう。